The 機能材料 話題4】
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微粒子の組織化技術:コロイドナノ粒子の一次元的、および二次元的規則配列

 高度に組織化されたナノ微粒子(ナノメートルは10億分の1メートル)の組織体は、太陽電池・有機EL・ トランジスタなど実際に実用的な用途に利用されています。このため、ナノ微粒子をできるだけ簡易的な方法で一次元的、 あるいは二次元的に規則正しく並べる技術は、現代の機能材料開発において極めて重要です。

 これまで、ナノ微粒子を規則正しく配列させる方法としてはディップコート法、スプレー法、 ラングミュア-ブロジェット法など数々の手法が提案されてきました。 しかし、これらの手法は高コストや作業効率に劣るなど幾つかの問題点を抱えていました。



この論文では、上の電子顕微鏡写真のようにシリカナノ粒子を一次元的、二次元的に規則正しく並べて敷き詰め、 ほぼ欠陥なくセンチメートル単位の大きさまで並べる新しい技術の確立が紹介されています (ナノ粒子をセンチの単位まで並べることは、直径1 cmのビー玉を1 km四方の範囲まで並べることに相当します!)。

これはあらかじめナノサイズの鋳型を作っていた基板に乾燥状態のナノ粒子を"直接擦り付ける"技術を用いて達成されています。 とても簡単に思えますが、実は沢山のノウハウが凝縮されています。著者らは、この開発した手法を"乾式手動集合法"と名付けています。 このように『ナノ微粒子集積化技術』は、いまでも日夜世界中で技術革新が進んでいます。

(紹介者:埼玉大学 工学部 機能材料工学科 金子洋平)

参考文献: "Facile Organization of Colloidal Particles into Large, Perfect One- and Two-Dimensional Arrays by Dry Manual Assembly on Patterned Substrates", Nguyen Nguyen Khanh and Kyung Byung Yoon, J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 14228-14230.


--- 用語解説 ---

【ラングミュア-ブロジェット法】
 水に馴染まない官能基(疎水基)の部分と、水に馴染み易い官能基(親水基)の部分を併せ持った化合物(両親媒性化合物)を希薄溶液にして、 水面上に滴下すると、溶媒だけが揮発した後、親水基を水中に向け、疎水基を空気側に向けた1分子だけの厚み(約2ナノメートル)の "単分子膜(別名・ラングミュア膜)"を形成します。この極限まで薄い分子の膜に対して、固体基板を垂直に横切らせると、 単分子膜の配列秩序を保ったまま、固体基板上に次々と移し取ることができます。この方法を開発者であるラングミュア博士(1932年ノーベル賞受賞)と、 ブロジェット博士の名前をとって、ラングミュア-ブロジェット法といいます。

 
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