The 機能材料 話題5】
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有機材料と無機材料の特長を組み合わせた紫外光センサー

 光センサーは、機能材料工学科の特徴である物理と化学の境界領域に位置するデバイスであり、 外部の光を電気信号に変換して記録する機能を持っています。この光センサーを使って特定の波長の光を検出する場合、 今のところ回折格子やフィルターを使う方法が一般的です。しかし、有機材料と無機材料の材料を組み合わせる事で、 これらの器具を使わずに特定の光のみを選択的に検出することが可能になりました。



 本論文では、波長380 nm以下の光を吸収する酸化亜鉛(無機材料)、350nm以下の光をカットする酸化インジウムスズ(無機材料) とポリビニルカルバゾールという有機材料の3種類の材料を用いることで、紫外光(350~380nm)のみを検出するセンサーの作製に成功しています。

このように、光の感度が異なる材料を組み合わせる事によって、様々な光の検出に対応したセンサーの作製が可能です。 このような技術を利用すると、回折格子やフィルターといった器具が不必要となるため、安価なコストのセンサーも実現できます。

(紹介者:埼玉大学大学院 理工学研究科 機能材料工学コース 木村翔)

参考文献: "High spectrum selectivity organic/inorganic hybrid visible-blind ultraviolet photodetector based on ZnO nanorods" , Lidan Wang, Dongxu Zhao, Zisheng Su, Fang Fang, Binghui Li, Zhenzhong Zhang, Dezhen Shen, and Xiaohua Wang, Organic Electronics, 2010, 11, pp.1318-1322.



--- 用語解説 ---

【回折格子】
光の回折を利用してスペクトルを得る素子。ふつうは多数の溝を刻んで溝の間から滑らかな面で反射される光線の間の干渉で生ずる回折像を利用する。

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