研究テーマ


― 進化を利用した分子デザイン・機能創出システム ―

 根本研究室では進化の原理を利用した分子機能創出および機能創出メカニズムの研究をしています。
 特に世界に先駆けて開発したペプチドやタンパク質の試験管内高速進化技術である”cDNA display法”は従来のmRNA display法の安定性と操作性を向上させることで、選択条件の幅を飛躍的に拡張し、従来技術では取得できない機能分子の取得に成功しています。
 現在、更なる高親和性ペプチドアプタマー取得に向けたスクリーニングのハイスループット化と新規酵素の進化スクリーニング系開発に向けたピューロマイシン・リンカー等の改良を行いながら、以下のようなテーマに関して研究を行っています。


1.進化工学による生体機能分子の創製
      -特に低分子化合物に特異的結合するペプチドアプタマーの創製


2.新規酵素のin vitro selection系の開発


3.新規酵素創出のための大規模スクリーニングシステムの開発
                    −ナノテクノロジーとバイオの融合−

  

 東京大学工学研究科 一木隆範研究室(ナノテクノロジー)、東京大学薬学研究科 船津高志研究室(1分子イメージング技術)との共同研究の下で100万種類以上の酵素ライブラリを我々のcDNA display技術でチップ上の小さな“試験管”の中で発現、活性を評価するシステムを開発しています。今後環境に優しい優れた機能をもつ酵素をスクリーニングするためには不可欠の技術と考えています。まさにバイオナノテクノロジーと進化工学の融合といえます。 その他に、ペプチドで世界最小の酵素が作れないかを検討中。


4.人工細胞構築へ向けた進化工学的アプローチ

  

リポソーム(人工2重脂質膜)をモデルに細胞とは何か、また、細胞様機能材料として薬剤運搬システム(DDS)や分子スクリーニングシステムへの応用を考えています。


5.無細胞翻訳系と新開発タンパク精製法を用いた
            迅速なタンパク質-タンパク質相互作用 解析の研究


6.生命の起源に対する理論的、実験的研究

  

なぜ我々生命がこの地球上に誕生したのかを物理と化学の言葉で理解したいと考えております。
・原始的なタンパク質とRNAの相互作用の可能性について実験的研究を開始